July 14, 2008
[DREAM CAP!TAL]#9 森麻衣子さん
ヤスダが幸運にして出会った素敵なヒト、またはボクが「ぜひ応援したいっ!!」と感じたもの(ヒト)をどんどんご紹介していこうと思って勝手にやってる超不定期連載企画、[DREAM CAP!TAL]。
9回目にご紹介するのは、森麻衣子さん。
(12/JUL/2008 @京都)
笑顔がとても愛らしい彼女は、
実はロンドンを中心に活躍するピアニストである。
森さんとは、ボクがロンドンに留学していたころに出会った。
日本で再開したのは1年6か月ぶり。
今回、初めて日本でソロ・リサイタルをするために"凱旋帰国"したのだった。
9回目にご紹介するのは、森麻衣子さん。
笑顔がとても愛らしい彼女は、
実はロンドンを中心に活躍するピアニストである。
森さんとは、ボクがロンドンに留学していたころに出会った。
日本で再開したのは1年6か月ぶり。
今回、初めて日本でソロ・リサイタルをするために"凱旋帰国"したのだった。
森さんは、英国王立音楽大学(Royal College of Music)を首席(!)で卒業し、ヨーロッパの数々のピアノコンクールで賞を受賞するなど、華麗な経歴を持つ。そして現在もロンドン郊外にあるチチェスター大学(University of Chichester)で講師を務めながらピアノ演奏活動を精力的にこなしている。
まさに"才女"というべき女性なのだ。
その彼女の演奏を聴いていると、時々不思議な感覚に襲われる。
彼女のピアノのタッチが、驚くほど自然なのである。
たとえ荒々しいメロディでも、熱情的なピアニストのように、鍵盤を力の限り叩くような素振りはまったく見せない。そして小鳥が囁くような柔らかなメロディでも、薄いガラスを触れるかのようなタッチはしていないように見える。本当に自然な形で音を紡いでいるのだ。しかし、その奏でる音は時にはものすごく力強く、そして時にはとても繊細にと、鮮やかに変化する。それはまるで虹色のような音。
意外にも日本でのソロ・リサイタルは初めてという彼女。初めて日本で演奏した感想を聴いてみると、
「いやー、ロンドンで弾いているよりも緊張しました。(^_^;)
日本のお客さんって、とてもおとなしい方が多くって、満足していただけたかどうかが心配で…だから余計に緊張しちゃいました。もちろん日本で弾くのが初めて、というのもあるんですけどね。
ヨーロッパのお客さんは感情をそのまま表に出すから、お客さんの気持ちがダイレクトに伝わってきちゃうんです。それはそれで善し悪しはあるけど、でも聴いているお客さんがどんな気持ちなのかがわかりやすいと少しだけ楽になれるんですよね。」
と、若干はにかみながら話してくれた。
ボクが彼女の演奏を聴くのは2回目なのだが、その2回とも、実は不思議なことが起きている。
最初に聴いたのは、2007年1月、ロンドン市内の教会で行われたランチタイム・コンサート。そのときはソロではなく、バイオリンとのセッション3曲だった。
教会の荘厳な雰囲気の中、バイオリンとピアノの音色が静かにこだまする…と思いきや、教会のすぐ隣ではオフィスビルの改装工事。時折、工事機械のけたたましい音が耳に入ってくるという、普通ありえない展開の中でそのコンサートは行われたのである。しかし、最初は単なる迷惑な雑音でしかなかった工事の音が、途中からそれらの音が、彼女たちの演奏を引き立てる"効果音"になっていったのだ。演奏している彼女たちからしたら、集中の妨げにもなりかねない工事音は迷惑以外の何物でもなかったはずなのだが、心地よいメロディが工事音のリズムと何故か調和してしまっていた。
そして今回。
まさに静かな雰囲気の中でのリサイタルが佳境を迎え、プロコフィエフ「戦争ソナタ」の演奏が始まったそのとき、神様は実にさりげない演出を彼女に施した。
演奏が始まって間もなく、舞台の後ろ、大きなガラス張りの窓から、稲光が幾度となく瞬いた。穏やかな第2楽章に入ると、不思議と雷鳴は収まり、そしてクライマックスとなる第3楽章に入ると、その激しい音とともに稲光が再び現れる。
その厳しい光は、彼女の紡ぐ荒々しい音と一体となって、プロコフィエフがまさに表現したかったであろうこの曲の世界が繰り広げられたのだった。これは神の演出としか言いようがなかった。
不思議な、そして素晴らしい才能を持った彼女は、しかしながらプライベートでは結構おっちょこちょいなヒトでもあったり、またおちゃめさんでもあったりする。そういうところも、ひとりのオンナノコとしての彼女の魅力でもある。
舞台の上では凛としたカッコイイ女性。
そしてプライベートではかわいいオンナノコ。
この素晴らしい二面性を備えた彼女には、そう遠くない未来、文字通り日本を代表する最高のピアニストの1人として賞賛される日が来るのではないか、とボクは本気で思っている。
次に彼女と再会するのは、どこの国だろうか。
もしかしたら国際ニュースのテレビ画面かもしれない。
そう思うと、本当に楽しみである。
