June 19, 2007

ツナガルコト。

先週の水曜日の話になるが、うちの祖母が退院した。


緊急入院したとき、最初に対応してくれた救急のお医者さんは
「たぶん1週間前後で退院できますよ」
とおっしゃっていたが、結局4週間近くの入院となった。


この4週間、ボクは夕方になると、夕食の介助をするため、ほぼ毎日祖母の部屋に通った。病院のお話では、朝と昼は看護師さんの数が比較的多いので看護師で介助対応ができるのだが、夕方以降になると看護師さんが極端に少なくなるため、手が回らないのだという。だから夕ご飯についてはご家族の方にお願いしたい、ということだった。
実際、この病院では夜になると看護師1人で20〜30人もの患者さんを担当しなければならないのだという。以前に「医師と看護師が絶対的に不足している」ということを書いたが、これが現実なのだということをいつも強く認識させられる。


部屋に入ると、祖母はじーっとボクを見つめる。

無言で見つめ続ける。

それが2時間もの間続く。


祖母は、入院するずっと以前から認知症である。
母のことは認識できても、孫であるボクのことはたまにしか思い出してくれない。そして名前は必ず間違われる。それでも以前は言葉を発して会話をすることもあったが、入院してからは極端にしゃべらなくなってしまった。
意思表示は首を縦に振るか横に振るか、そしてじーっと見つめるかだ。だから、祖母が何を求めているのか、痛いのか、苦しいのかをその3つで判断しなければならない。
コミュニケーションがなかなか取れないことはとても辛く、やりきれない気持ちになる。


そんな祖母だが、
ボクが手を祖母の前に差し出すと、必ずぎゅぅっとボクの手を握る。そして1度握った手は、決して離そうとしない。

handsとても小さく皺だらけの手には、点滴の痕がいくつもあった。それがとても痛々しく感じるのだが、それでも一生懸命に握り返してくるその手には、温かさ、そして言い知れぬ強さを感じた。


手をぎゅっと握りしめたまま、ボクをじぃっと見つめ続ける。
不思議なことだが、ただ手を握って見つめるだけの時間が、ボクは好きだった。


病院にいる間、ボクは祖母についてあげること以外何もすることができなかった。
だけど、退院する前の夜、ある看護師さんはこう言った。

「そばにいて、手をつないでいるだけでも幸せだと思いますよ」


つながっていること。
何もできなくても、ただそれだけでいいのかもしれない。

requios at 14:05 │Comments(0)TrackBack(0)この記事をクリップ! つれづれなるままに。 

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