December 25, 2005

[DREAM CAP!TAL]#1 荒木汰久治さん

ボクが勝手に始めた[DREAM CAP!TAL]。
最初にご紹介するのは、オーシャンアスリート・荒木汰久治(あらき たくじ)さん。

荒木さん宮崎出身(生まれは熊本だけど)の荒木さんは、ボクより2つ年上の31歳。プロのライフセイバーであり、そして"アウトリガーカヌー"をはじめとしたマリンスポーツの世界的な選手でもある。


そんな彼と知り合ったのは今年の1月のこと。
そのとき、彼はすでにものすごいユメに挑戦しようとしていた。

サバニそれは、沖縄の昔ながらの木造船"サバニ"で、沖縄から愛知県までの2,000kmを航海するというもの。しかも、海図・コンパスなどを使わずに、星を見て航海するという。
最初に聞いたヒトは、どう考えても無謀としか思えないだろう。しかし、彼は(正確には"彼らは")、そのチャレンジを見事に成し遂げた


[Dec/16/2005, at "Live in 寓話"]
arakitakuji−先月オキナワに拠点を移したそうですが、いろんな海を知っている荒木さんがオキナワを選んだのはなぜ?

「オキナワの海には、まだボクの知らない可能性をたくさん秘めていると思う。今年、海人丸(うみんちゅまる、2000kmを航海したサバニの名前)に乗っていろんな海を見てきたけど、黒潮に乗って北上していくうちにどんどん海が汚れていくんだ。港に入ると魚の死骸がそこらへんに浮いていたり、あまりにすごい臭いだったりね。」
「その点、オキナワの海はまだ美しいところが残っている。この海を守れるのか、それともいずれ他の"死んだ海"と同じようになってしまうのかはわからないけど、少なくとも守るというチャレンジはできる。この海を守ることができたら、もしかしたら他の海も守れるかもしれないし、かつての姿に復活させることもできるかもしれない。そういう意味で、いろんな可能性を持っているんだ」



−沖縄から愛知県までの2,000kmの航海。怖くはなかったですか?

「もちろん怖かったですよ。しかも今回はGPSやコンパスとかを全く使わない、昔ながらの航海術で行くわけですから。太陽や星の位置だけでなく、風を読み、また波を読みながら目的地を目指すのはホントに大変。一瞬でも気を緩めると、自分たちの位置を把握できなくなっちゃうかもしれない。そうなったら広い太平洋を"漂流"することになってしまう。"漂流"したら、それは死につながるわけだからね。」
「それと、ボクはキャプテンとして他のクルーとは違う恐怖を常に持っていたなぁ・・・。ボクにはクルー全員の命を預かっているという責任があったし、1つの判断ミスがクルー全員を死なせるかもしれない。だから、1つ1つの判断・決断にはすごく葛藤というか悩みがありました。『本当にこれで間違っていなかったのか?』って、ね。でもクルーには悟られないように気を使ってました。だって、トップが不安な表情をしてたら、クルーがトップを信頼できなくなるでしょ?だから、ハッタリをかましてでも『大丈夫だ。オレを信じろ!!』みたいな"強い自分"を演じ続けたんだけど、それはそれで辛かったなぁ。」



−命の危険を感じたことは?

「『あぁ、死ぬかも』と思った瞬間は3回あります。1度目はトカラ列島チャレンジのとき。南からの追い風がすごくって、それに乗ってどんどん船のスピードが上がる。そしてその風の影響で波も次第に荒れていく。そしてコントロールが利かなくなっていくんです。それで大きな波に乗っかったりぶつかったりしたら沈没ってこともありますからね。2回目は四国付近だったかな。それと3回目は紀伊水道のあたりを通過するとき。ちょうど通過する数日前だったかな、タンカーの衝突事故が起きたんですよ。紀伊水道は海の"渋滞エリア"で、大型船もたくさん往来するし、何より潮の流れが複雑。あまりに危険だということで、ここを通過するときは本当に緊張しました。」


−また来年、海人丸で航海をするそうですね?

「そう。今度は今回ゴールした愛知県・知多半島から、東京のお台場まで行く予定です。」


−なぜ来年も航海するんですか?

「う〜ん、ボクらは今回を含めてサバニで2回航海しているんだけど(2004年は沖縄〜宮崎まで航海)、この2回の航海で、日本の海の"過去"と"現在"を垣間見たような気がするんです。今回は昔ながらの航法を使ったけど、前回はGPSやコンパスを使ったしね。昔のヒトにとって"海を渡る"ということはとてつもなく勇気のいることだったけれど、今は文明の発達でより安全に海を渡ることができるようになった。だけど、その安全を過信して、昔よりも大きな事故が起きるようになっている。そして、海も沖縄のように昔ながらの美しさが残るところがあれば、どんどん死んでいく海も現われてきている。だから、次の航海では日本の海の"未来"を見てみたいんだ。その象徴が、ボクはお台場の海なんじゃないかと思っている。未来は絶望的なのかもしれない、けれどもしかしたら人間と海が共生できる、希望の1滴が見つかるかもしれない。未来を見るのは怖いけれど、これから生まれてくる子供たちのためにも、見る勇気を持たなきゃいけないと思う。」
「おそらく、次の航海での1番の障害は"社会"であり"政治"になってくると思う。安全に航海をするためには各都道府県の警察や海上保安庁、自治体の皆さん、関係各省庁の協力は不可欠なんだけど、次の目的地は日本の首都・東京。浦賀水道は交通量があまりにも多くて日本で1番危険な海域だし、そんな場所を小さなサバニが通過すること自体が無謀かもしれない。これまでの政治や社会だったら、間違いなく"NO"という答えが返ってくるだろうが、それを変えることができるか。これが1つのチャレンジですね。」




ニッポンという社会は、ユメやロマンに対する関心は昔からものすごく低いとボクは思う。でも、ニッポンという社会を大きく変えてきたのは、自分のユメを持ち、それに向かってまっすぐ進んでいった"コロンブス"たちだとも思う。織田信長しかり、坂本龍馬しかり。本田宗一郎も、松下幸之助も、自分の信念に正直に生きてきた。


来年8月、彼らの新しいチャレンジは、きっとまたテレビや新聞で大きく取り上げられるだろう。そしてそれを見た人たちが、ニッポンの貴重な財産である"海"に大きな関心を寄せ、自分たちの"海"のことを真剣に考えるようになれば、もしかしたらニッポンの海が蘇るかもしれない。


araki and yaraそうそう。
荒木さんとお話をした「ライブイン寓話」は、沖縄で最も有名なジャズピアニスト・屋良文雄さんのお店です。
このあと、ボクはダメモトで「もし次の航海チャレンジが正式に決まったら、応援歌を作っていただけませんか?」と屋良さんに訊いてみたところ、

「もちろん!!お安い御用だよ!! ボクはこういうロマンが大好きだからねぇ。喜んで作らせてもらうよ。」

と快諾してくださったのでした♪



すごいことになってきそうな予感がします。

requios at 14:04 │Comments(1)TrackBack(0)clip!DREAM CAP!TAL 

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この記事へのコメント

1. Posted by TAKU    December 27, 2005 01:16
安田さん! 
是非またお店に遊びに行きましょうね。
まだまだ続く挑戦の日々。
確実に少しづつ前進していきたいですね。

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